activitiesNeo・ミーナ回想記 2018

48【次の激流……運命のターン】

次にその外科医は、私の乳がんを見ながら
「あなたの乳がんは広範囲なので、切っても縫い合わせません。お腹の肉を取って持ってくるしか有りません。」と説明されました。
私は大変驚き
「そんな事になるなんて聞いてませんでした!そんな事になるなら、すぐに手術していました(怒)どうにか ならないんですか???(激怒)」ときつい口調で言ってしまいました。その医師とは初対面でしたが、どうしても感情を抑えることが出来ませんでした。まさか、今までの苦労が、ただ乳がんを進行させただけだと思うと怒りと焦りで動揺し、取り乱してしまいました。

 

 

通院し始めた時より、更に深刻な状態になっていたなんて。更に納得いかなかったのは、途中でリスクについて1度も説明が無かった事です。
今までの大ベテラン医師とのやりとりの中で『ん?おかしいな?』と思う事が、何度もあった。でも信じているから、疑問を消してしまっていた……でも、その過去も全て含めて、現在の状況が現実です。医師だから、信じていたのに……何を信じていいのか分からない。まさに『晴天の霹靂』でした。

 

 

「……じゃあ どうしたらいいんだろう……」
そう考えている私の不安そうな表情を見て、その外科医は
「明日、ちょうど腕のいい若い先生が来られるから、その先生に相談してみて。」
と、提案してくださいました。
そうして急な展開になり、辛い体でしたが近くのホテルに1泊し翌日も受診のすることになりました。どうなるか【神のみぞ知る】という感じで全く分かりませんでしたが、命がかかっている真剣勝負の時でした。

 

 

近くに1泊し、翌朝、待合室のソファーに座っていました。
血圧測定で呼ばれ、測定しているとカーテン越しに医師達の会話が聞こえてきました。
私は5月~11月の間に、凄く進行しているというのに、途中で検査することもなく方針を変えることもなかった事について話しあっているような感じでした。
そして、癌性胸膜炎の完治は「奇跡」と呼べる程の効果が出ていると、聞こえてきました。

 

 

待合室のソファーに戻り座っていると、しばらくして名前を呼ばれました。昨日の医師とは別のダンディな雰囲気の外科医でした。
ダンディ外科医「あなたは、乳がんの標準治療を受けた事が、1度も有りませんね?」
私「はい。」
ダンディ外科医「手術するにしても、専門治療を受けてみてからにしてみて下さい。それを勧めます。」
私「………」

 

 

1日でも早く手術をしたい私にとっては、また病院を変わり、一から検査するのは気が進みませんでした。でも初めに検査した病院なら、私の乳がんデータが全て揃っています。
そして、乳腺外科のスマイル先生から「あなたの乳がんにあった抗がん剤で、先ず縮めて手術します。」と言われたのを思い出しました。
もう手術すると決めた私にとっては、どこで手術しても同じ事。
それならば既に抵抗も無くなっていた抗がん剤をして、縮めて手術した方が断然良いと思いました。

 

 

 

今回、私の乳がんタイプにピンポイントで選んだ抗がん剤でなくても、これだけ効いたという事は、乳腺外科で選んでくれる抗がん剤は、さぞかし効果が有るだろうと想像しワクワクしてきました。
まるで『運命の人が待っている……白馬の王子様が待ってくれているような……』そんな感覚になりました。

 

 

それから、早速紹介状を書いていただき、1年前に逃げ出した乳腺外科に予約を入れていただいて出戻る事が決まりました。
ですから、私の場合嫌々戻ったのでは無くて『気が付いたら、押し戻された状態』になっていたのです。

 

声なき声の代弁者

北里ミーナ