12【乳がんと伝えられた時……冷静な私】
長いような短いような変な1週間が経ち
結果を待つ院内の待合室で考えていたこと。
【乳がんだった場合】
★︎全ての仕事を一旦整理して、治療に全力を尽くす
生命保険のお金で治療に専念しながら、今まで時間に追われ出来なかった事をする。読書・勉強・DVD鑑賞・心の充電など……
【乳がんでは無かった場合】
★今まで通りの疲れた日常が続くだけ。
その時の私の心境は、実は前者の方が魅力的でした。
『一旦、全てから解放されたい』とも思っていたので。
もちろん、そう思っていたのは
『がんは治るもの。私はがんでは死なないだろうから。』
という私の中にある擦り込みが根拠となっていたのも理由の1つす。
しばらくして私は呼ばれました。私は丸椅子に座り、少し落ち着いた気持ちで先生を見つめていました。
先生は落ち着いた表情で、私の目をシッカリと見つめながら
「検査の結果、悪性腫瘍でした。」と告げられました。
「……それって『がん』という事ですよね?」
耳慣れない言葉に戸惑い、とっさに出た言葉でした。
その時に、私の頭に浮かんだのは
50%「私、死ぬかも?ヤバイやん!!」
50%「あ~ これでユックリ出来る……
でも もしかして あの体験をするって事?(私の本当のがんになった理由)」
でした。
先生は続けて
「更に詳しいがんの検査結果の種類が、1週間後には分かります。
その結果次第で、術後の治療法が決まります。また1週間後に来てください。」
そう言われ、治療法の大まかな説明をされました。
私の乳がんの大きさは、すぐに手術出来る大きさでは無いので、抗がん剤で縮めてから手術という事でした。それでも、抗ガン剤で必ず手術出来る大きさまで縮むかどうかは、やってみないと分からないという事でした。
まだ小さかったら、抗がん剤をせずに手術出来たと説明を受けて、少し後悔しました。でも 、そうは言っても後の祭りです。この9ヶ月間、納得行くまで自分なりに頑張ったので悔いは有りませんでした。
私は1週間の間に出来る事に取りかかると決意しました。
仕事の段取りや誰に知らせるかを決め、脱毛準備の為に髪を切りに行く予約を入れました。
その時は前向きに『抗がん剤治療に臨もう!』そう思っていたのです。
声なき声の代弁者
北里ミーナ