救急車……脳転移4 vol.93
「コン コン!」という音。通報で到着した2人の警察官が車の窓をノックする音で私は目を覚ましました。
明け方、ライトが付いてエンジンがかかったままの車が電信柱にぶつかっているという事で、近くの方が警察に連絡して下さったそうです。警察官が駆けつけるまでの3時間、意識を失った私はハンドルにうつ伏せ状態でした。
車は運のいい事に、細い道のドンずまりにある電信柱にぶつかって止まり続けていたそうです。その発見場所まで自宅からは約5キロの距離です。
途中で山道のカーブにある大きな沼に突っ込まず、深夜のバイパスを渡ったのにトラックにもぶつからず、人にぶつかることもなく車体をぶつけた箇所は右ハンドル四駆車の左側バンパーだったので私は無傷でした。
意識を失っている私の姿とは、まるで居眠り運転の男性が事故を起こしたように見えたのではないかと思います。(坊主頭で、ハンドルにうつ伏せですから)
「コン コン!」ハッと目を覚ました私は警察官の制服を認識して、急いで窓を開けました。すると、窓を開けたとたん
「ライトを切ってください!」 「はい。」
「エンジンを止めて下さい!」 「はい。」
「パーキングに入れてください!」 「はい。」
「サイドブレーキに 入れてください!」 「はい。」
と矢継ぎ早に言われ、慌てて車を安全な状態にしました。
外はすっかり明るくなっていて車は何故か止まったままだったのでビックリしていました。すると警察官の質問が始まりました。
警察官「免許証を見せて下さい。」
私「はい。」
警察官「どうされたんんですか?」
やっと私が状況を説明できる番が回ってきました。
意識を失うまでの状況を説明すると、
警察官「持病は、有りますか?」
私「半年前に、○○病院で乳癌の手術を受けました。」
警察官「救急車、呼びましょうか?」
私 「そうですね……」
と、記憶にあるのは(意識があったのは)ココまでです。
その返事をした直後、私は
『泡を吹いて、痙攣をし始めた』
そうです。
その後、警察官が救急車を呼んで下さり無事にスムーズに搬送されたそうです。その入り組んだ事故現場を正解に伝え冷静にスムーズに誘導できる警察官の前で必要な事を伝え終わって意識を失った、失えた?私でした。