『医療否定本』という本。vol.89
3回目の体験スピーチも2回目と同じ自然派レストランで行いました。そのスピーチの日は、脳転移で意識不明になる2日前でした。言い方を変えると、脳腫瘍で意識不明になる数日前までスピーチする程、元気でしっかりしていたという事です。
脳転移からも生還して開催した、スピーチに参加していた友人(私に良かれと思い「抗がん剤して大丈夫❔」とアドバイスをくれた友人)から、こう言われショックを受けました。スピーチ後の質問コーナーでの、私の返事と対応について。
質問者
「◯◯◯先生(大学教授)の本については、どう思われますか?」
その時に私は間髪入れずに
「それはトンデモ本ですから!!! その理由は~……」
といったそうなんです。
ですから、その友人から
「その対応のスピードと圧倒力が凄かった。もっと柔らかくても いいのでは?」
と言われたのです。
ちなみに その◯◯◯先生は書籍で
✴ガンの転移は治る兆候。
✴ガンは、治療するから治らなくなる。
✴無治療で治らない人間は、免疫を上げる感謝が足りないから。
と書いています。
✴私の亡くなってしまったがん友が、電話相談した時には
「乳がんなんて、湯たんぽ抱いておけば すぐに治るんだ!」
と言われたと言っていました(その女性は、手遅れの乳がんで亡くなってしまいました。)
その友人は、私が抗がん剤拒否を決めた私の為に、抗がん剤治療を進める娘と娘の友達に対して『抗がん剤の毒&医療業界の陰謀論』を一生懸命説得してくれた人でもあります。私はずっと治療経過を報告し続けていたので、生還劇まで全て知っています。そして「北里さんに万が一の事があったら、娘さんに顔向け出来ないと思ってた。」とも言っていました。
それなのに、私には『本』で熱くなるなと言ってきました。ですが、私にとっては『たかが本』ではなく『されど本』なのです。人は自分の持っている情報の中で正しいと思い選択していきます。
そのたった『一冊の本』がキッカケで私には命を失ったガン友が何人もいますし私も危なかった1人です。私には ただのその本が『暴走車』にしか見えないのです。本は、たとえ止まっていても……そして興味を持ち始めた人が交通ルールを知らない小さな子供のように見えてしまうのです。ルールやモラル、命を最優先しない暴走車が走り回る中に、小さな子供が歩き出そうとしていると分かった瞬間、危険性を知っている輩・体験者として『危ない!!!』と叫んでしまうのは本能だったと思います。(今なら 一呼吸置けますが……)
ガンの辛さは、体験した本人にしか分かるはずが無い。でも、分かってくれていると打ろうと思っていた友人でさえ、そこまで分かってはいなかったのです。期待していると、そのぶんがっかりしてしまいます。勿論、頭では期待しないようにしなければと分かっています。
時折、新しく出会う方から、傷があるように見えないからと、せっかく塞がった傷口をこじ開けられる時さえあります。だからこそ、私は声なき声の代弁者として前を向いて進み続けるしかないと思っているのです。