傷付ける仲間達 vol.21
~2010年12月~
楽しみにしていた入院生活がスタートしました。
【楽しみ】の理由は
『消滅していく乳がんを観察出来ると思っているから。』
『今までの疲れを癒し充分なエネルギーを蓄えようと思っていたから』です。
先輩である入院患者さん達は、そこの治療法が大好きなリピーターまたは難病の方やガン患者の方でした。
西洋医学で治療法がない難しい病気が、その療法で治ったというある女性は、映画化され伝説のような存在になっていました。
同じガン患者に出会う事は仲間が出来たように感じ心強くなり 「がん患者が集まるというのは、治るってことなのね。よし 頑張るぞ!!」とファイトが湧いてきて、硬く心に誓いました。
入院初日、年配の女性から話しかけられました。
年配の女性「あなたは、何の病気?」
私「乳がんです。」
年配の女性「乳がんは、父親か男性に愛されてない人がかかるのよ。」
まさか入院している女性からいきなりそんな事を言われると思わず、驚き深く傷つきました。
初対面の乳がん患者に対して何て失礼な事をいうのだろう。見えない世界の話を信じるのは自由ですが(後に知りましたが、ある医師が言っています。)とても残念に思います。
「私が、どんなに父に愛されて生きてきたのかも知らないのに。長女の姉を死産で亡くしたため私は大切に育てられました。まして何か教えてと頼んだわけでもなければ聞いたわけでもない。ただの親切(と思っているだけ。)の押し売りやん!」と怒りを通り越し残念さも通り越して、悲しくやるせない気持ちになりました。
まさかガンになってから、同じガン患者から、そんな経験をさせられるなんて。
ちなみに、その女性は子宮がんでした。
その夜、その女性は私の部屋に入って来ると
「とても いい本だから。」
と2冊の本を置いて、そそくさと去って行きました。