activitiesNeo・ミーナ回想記 2018

37 【手術拒否……褒められる】

待合室で数時間待ち、やっと診察室に呼ばれました。
その巨大病院の医師は、見るからに西洋医学と東洋医学を極めたような
長年のキャリアと実績がありそうな……しかも優しそうで仙人のように見える独特のオーラを放つお爺さんの医師でした。

 

 

その大ベテラン医師が、ドキドキしている私の乳がんを見て言った第一声。
それは「よくぞ、ここまで頑張ったね~!乳がんは、みんな早いうちに手術してしまうからねぇ~。こんなに成長した乳がんには、滅多にお目にかかれない︎!」
と感心した表情でニコニコしながら発した言葉でした。そう言われると緊張していた私の心は急に解れ嬉しくなってしまいました。

 

 

「という事は手術してない、手術を拒否し大きくした私の選択は正しかった?切らない選択をして 良かったんだぁ……」そう思いました。
次に、私のソフトボール大の乳がんを触診されました。上に少し持ち上げてみると「奇跡じゃ︎!癒着していない︎!!切ったら すぐ治るよ♪」と満面の笑みで言われました。
私は「そうなんですか⁉︎良かった~︎♪」と今迄の苦痛や大変さ不安から、一気に解放された気分になり笑顔で返事しました。

 

 

でも一瞬、心の中にある疑問が過ぎりました。
「でも、半年前の、まだ今より小さい時に乳腺外科のスマイル先生からは『すぐに手術出来ない大きさだから、抗がん剤で縮めてから手術します。』と言われてたのに……でも、この大ベテラン医師は私の画像も見ず、ただ触っただけで『切ったら治る』って。どっちが本当なの??でも、こんな大きな病院の偉い医師が自信持って言うのだから間違いないだろう︎!」
そう解釈し、疑問には蓋をしました。それは医師を信用しないと頑張れないと思ったからです。

 

 

ここで冷静な判断が出来るかどうかも運命の分かれ道だと思います。
その時に何故、大ベテラン医師は画像診断もせず触診だけで治ると言い切れるのか?
何故、乳腺外科医は手術出来ないと言っていたのか?
この2点を、その時に詳しく尋ね、理解して判断すべきだったと今では思います。
何故なら、1番大切なのは治療が目的で、私は命を守る為に病院に行ったのですから。

 

声なき声の代弁者

北里ミーナ